コミュニケーション能力

園生活のなかで、またはお家の周りで、子どもが友達と自由に遊べる時間や場所は、どのくらいあるでしょうか。
3〜5歳になった子どもたちにとって、少〜し大人の目から離れて、友達同士の世界でたっぷり遊ぶ時間はとても大切です。
この時期の子どもに不可欠な遊びの一つが「ごっこ遊び」です。
そして、「ごっこ遊び」のなかで自然に育まれる力の一つが、「イメージの共有」=「コミュニケーション能力」なのです。
例えば、レストランごっこをしようとする時、子どもはそれぞれ自分の体験をもとに遊びを作っていきます。
「この本、メニューにしよう。」
「うん。はじめに、お水を持ってくるんだよね。」
「ケーキもあるレストランにする?」
「うん、そうしよう。」
「ラーメンもあるよね?」
「ラーメンはないよ。」
「ラーメン、あるよう。食べたことあるもん。」
「それはラーメンやさんでしょ?」
「レストランには、ないかな・・・」
「ないよ。」
「うん、わかった。ラーメンはないレストランね。」
自分の体験と相手の体験は異なるけれども、それを言葉で伝え合い、想像力を働かせ、友達と共通のイメージを作り上げていく・・・そのイメージがピタリと合い、ふくらみを持つと、子どもの遊びは大変盛り上がります。何十分でも一つの遊びが続くこともありますし、また、次の日も続きを遊びたいと思うでしょう。
こんな遊びの体験をたくさんした子どもは、友達が大好きになり、友達の言葉に自然と耳を傾けることができるようになります。それが、高いコミュニケーション能力につながっていくと思うのです。
お母さんや先生が、「お友達と仲良くしなさい」「よくお話を聞きなさい」と言い聞かせても、そういった能力は教え込んで身に着くものではありません。豊かな子ども同士の遊びのなかにこそ、高いコミュニケーション能力を育む種が蒔かれているのです。
「ごっこ遊び」の素晴らしさは、まだまだありますが、それは、また次回にしたいと思います。
(2005/01/14)