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自己コントロール

自己コントロール

前回、「順番」や「ジャンケン」など、子供の世界の「問題解決の方法」について、お話しました。

でも、そこは子ども。欲しいものは欲しい。イヤなものはイヤなんです。
泣きます。暴れます。はたまた石のように塊ります。
そこを脱する力が、「自己コントロール」する力です。

友達との遊びが楽しくなってくるのは、2〜3歳頃からです。
この時期の男の子たちは、「○○レンジャー」などのヒーローごっこが大好きです。変身ポーズも格好良くキマリ、なりきって遊びます。

A君「ぼく、レッド!」
B君「ぼくも、レッド!」

仲間遊びを始めたばかりの「○○レンジャー」にはレッドが、3人も4人もいたりするものですが、それでOK!何の問題もなく、遊びは成り立っています。
ところが、少し年齢が上がってくると、「レッドは1人」という事実に気付き始めます。

テレビのレッドは1人なのだから、ぼくたちのレッドも1人だけ。ブルーだって、イエローだって、いなくちゃ「○○レンジャー」になれない。おかしい!

A君「ぼく、レッド!」
B君「ぼくも、レッド!」

以前と同じセリフで、今度はケンカが始まってしまいました。
せっかく、楽しく遊ぼうと思ったのに、ケンカしているうちに、もう遊ぶ気持ちなんてどこかへいってしまいます。

A君のことは大好きなのに、一緒に○○レンジャーしたいのに、できなかった・・・・・

とても悲しい出来事です。
こんな失敗を繰り返した後、ある時

A君「ぼく、レッド!」
B君「A君、レッドだね・・・ぼく、ブルーにする」

レッドになること(自分の要求を通すこと)と、大好きな友達と遊ぶことを考えて、友達と仲良くする方を選んだのです。
B君の、レッドも大好きだけど、A君も大好きという想いが、自分の要求・感情をコントロールする力を生んだのです。

レッドを譲られたA君も、「あれ?」と気付きます。
B君、今日はレッドじゃなくていいんだ。ぼくにやらせてくれるんだ。うれしいな。

この体験が、今度はA君の、友達が大好き、友達を大切にしたいという気持ちを育てます。
もうすぐ、A君がB君のために、何か譲ってあげたり、かばってあげたりする場面も見られることでしょう。

友達との楽しい遊びと、お互いの要求がぶつかりあってのケンカ。
ごっこ遊びは、この繰り返しの上に成り立っています。
そんなごっこ遊びを積み重ねることで、友達を大切にしたい、やさしくしたい、喜んでもらいたいという気持ちが芽生えます。この気持ちこそが「自己をコントロールする力」の糧となるのです。

大人は、「ケンカは悪いこと」と決めつけて、すぐに決着をつけさせたり、謝らせたり、見せかけの仲直りをさせようとしてしまいがちです。
また、年齢が上がれば、大人の「謝りなさい」「貸してあげなさい」「我慢しなさい」といった言葉で、言う通りにできるようになるかもしれません。
でも、これでは、本当の意味で、「自己」を「コントロール」したことにはなりません。

子どもの内側から、にじみ出てくるような「自己コントロール」する力。
これこそ、子ども同士のごっこ遊びの中で育まれるものと言えるのではないでしょうか。
(2005/05/31)


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